『富士山』作品第壱/草野心平
麓には桃や桜や杏さき。
むらがる花花に蝶は舞ひ。
億万万の蝶は舞ひ。
七色の霞たなびく。
夢みるわたくしの。
富士の祭典。
ぐるりいちめん花はさき。
ぐるりいちめん蝶は舞ひ。
昔からの楽器すべては鳴り出すのだ。
種蒔きのやうに鳥はあつまり。
日本のすべての鳥はあつまり。
楽器といっしょに歌ってゐる。
夢みるわたくしの。
富士の祭典。
七色の霞は雪に映え。
七色の陽炎になってゆらゆらする。
鹿や猪や熊や馬。
人はゐないか人もゐるゐる。
へうたんの酒や女の舞ひ。
標野(しめの)の人も歌ってゐる。
ああ。
夢みるわたくしの。
富士の祭典。
遠く大雪巓からは黄鳥(くわうてう)が。
使者になって花を啣へて渡ってくる。
三つの海を渡ってくる。
むらがる花花に蝶は舞ひ。
億万万の蝶は舞ひ。
七色の霞たなびく。
夢みるわたくしの。
富士の祭典。
ぐるりいちめん花はさき。
ぐるりいちめん蝶は舞ひ。
昔からの楽器すべては鳴り出すのだ。
種蒔きのやうに鳥はあつまり。
日本のすべての鳥はあつまり。
楽器といっしょに歌ってゐる。
夢みるわたくしの。
富士の祭典。
七色の霞は雪に映え。
七色の陽炎になってゆらゆらする。
鹿や猪や熊や馬。
人はゐないか人もゐるゐる。
へうたんの酒や女の舞ひ。
標野(しめの)の人も歌ってゐる。
ああ。
夢みるわたくしの。
富士の祭典。
遠く大雪巓からは黄鳥(くわうてう)が。
使者になって花を啣へて渡ってくる。
三つの海を渡ってくる。
http://kawaiikoennui.tumblr.com/post/9668809739
心平さんは蛙の人であるが、富士山の人でもある。
詩とは何か・・・人生をかける価値のある謎である。
詩とは何か・・・人生をかける価値のある謎である。
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