ぼくは何事もアタマから入らないと嫌なので、ほとんどの場合、書籍が先生ということになる。
若い頃からそうだけど人に教わるというのはメンツに関わるので好きではない。ある程度の基礎までは独学で身につけたい。いちから手取り足取り対面で教えてもらうのは苦手なんだ。
ということで、ついた先生はこの本。
この本の立ち位置は極めて合理的だ。不耕起栽培とは端的に言うと耕さないということだ。耕すのは草木の根っこに任すということ。
とことん、有機、無農薬にこだわるということでもなさそうである。肥料などは、有機肥料にも弊害があるので化成肥料の方が管理しやすいという。病害虫に関しては180ページのうち2ページがさかれているだけ。不耕起では草木が丈夫に育つのでいらないという感じだ。
土作りに関しては畑を起こした初年度と次年度は、若干の耕起をする。そして、後から補給しにくいリン酸とカルシュウムを遅効性のもので定着させておく。あとは作付け野菜や緑肥、雑草の根張りで土壌を農地に適したものに改良してゆくというものだ。基本的に草木の根は土中にのこす。やがて、それらは、腐敗分解され腐植になり、雨水、酸素の補給路、微生物の住処となるということ。あとは、緑肥や雑草を畑表面にばら撒いておくだけで、有用な生物が住み良い環境となり、彼らが草木を分解し肥料化し、土表面の保守保全にもつながるという考え方。それらの有機的な肥力で足らないものは、表面に撒いた草木マルチの上に化成肥料を不足分だけ撒いてやればいい。基本的元肥にはリン酸多めのもの、追肥にはバランスしたもの。中和剤には消石灰の水溶液を散布。有機肥料にしても有機物を微生物が分解してチッソ、ヨウ素やリン酸にしてくれるのを期待するのだから、それでいいということだ。逆に有機肥料は他の雑物が混じるので管理しにくいということなんだろうね。
どこを切っても極めて合理的だと思われる。不耕起、有機というと、開拓者の残したものは何処か宗教的な雰囲気が漂うが、この著者は極めて合理的で腑に落ちやすい。そのノウハウが惜しげも無く開陳されているのでこれを手本としてゆこうと思っている。
あと、参考にしているのは以下のもの。これも先達の手法がよく抑えられた良い教科書だと思うが、より有機志向が強いものだ。驚くことに両者とも、病害虫に関する記述が少ない。この点は半信半疑だというのが正直なところだ。
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