2014/01/04

『二十日鼠と人間』 主演・監督ゲイリー・シニーズ 原作ジョン・スタインベック

 正月は見るテレビがないので、ツタヤで6本ばかり借りてきた。そのうちの1本。正月から見る映画ではない。

 スタインベックが好きなのはどうしょうもない。ヘミングウェイが好きだというのは多分にカッコを付けて言ってるところがあるけれど、スタインベックとトルストイは掛け値なしに好きだ。トルストイについては未だかつて一言も書いたことがない・・・あっても、忘れているので、十年二十年前の話だろう。学生の頃は多いに語り書き散らかした。ヘミングウェイなどは一言も語ったことはないだろう。妙なものだ。

 見終わってはいるのだけど、コメントのしようがない。ゲイリー・シニーズも昔は硬派だったんだなぁ・・・と妙に感心するだけだ。絵は美しいものが写っているから美しいだけだ。原作の喚起するイメージはもっと刺激を含んだものだったように思う。あと映画の手法や技術的には特に見るものはない。演技の点でもそうだ。飛び抜けたものは何もない。まぁ、それで良いのかもしれない。ストーリーには忠実なんだろうと思うが、なにせ遠い記憶で二十年以上読み返したことがないので思うとしか言えない。

 最近ツタヤに行っても何を借りて良いのか解らないので、たまたま目にとまったので見てみたという程度なので、感じるものが少なかった。

 でも、しばらく時を置くとまた見たくなると思う。なにかしら、まじめに一生懸命伝えようとしているのは感じられるんだけど、なんなのか解んないという感じだ。そのあたりがもう少しストレートに伝えられていたなら佳作というレベルには到達できたんだろうなぁと思う。

 基本的には、こんな映画を見るよりも是非とも原作を読んで欲しいと思う。ぼくも多分その点でしくじったと思う。多分、文庫本が何冊も書庫にあるはずなので探せばすぐ見つかったはずだ。読んでから見れば良かったと思った。

 重ねて言うが、正月から見るような映画ではない。


61jIEoOaI3L 『二十日鼠と人間』

 気鋭ゲイリー・シニーズが同名小説を元に映画化した人間ドラマ。1930年、大恐慌時代のカルフォルニア。小柄で頭の切れるジョージと、巨漢だが知恵遅れのレニーの2人は、農場から農場へ渡り歩きながら労働に明け暮れる日々を送っていた。レニーは気持ちの優しい男だが、他愛のない失敗でよく面倒に巻き込まれるのが日常茶飯事だった。そんなレニーを聡明なジョージは何かとかばい、レニーは行動の全てをジョージに指示してもらい頼りきっていた。いつかは牧場主になるという夢を楽しそうに語る2人。そして彼らは、次の働き場所タイラー牧場へと向かうが……。純粋な者を除外してゆく構造を持つ社会への警鐘と、それゆえの哀しみを、詩情溢れる映像で描いた感動的傑作。G・シニーズとJ・マルコヴィッチの、どちらも甲乙つけ難い程の素晴らしい演技、そしてラスト、シニーズの“目”で現す何ともいえない哀しみが胸に染みる。

二十日鼠と人間

二十日鼠と人間2

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