2013/11/13

やっぱり東電に任せている場合ではない4号機問題 - videonewscom

 

やっぱり東電に任せている場合ではない4号機問題

videonewscom 公開日: 2013/11/09

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ニュース・コメンタリー (2013年11月09日)
やっぱり東電に任せている場合ではない4号機問題
 福島第一原発の4号機4階部分にある使用済み燃料プールに残っている1533本の燃料­棒。万が一これがすべて溶融するような事態に陥れば、福島県はおろか東日本全体、人間­が住めなくなる可能性すらある。それほど重大な影響のある燃料棒が、補強されたとは言­え、地震と津波、そしてその後の3号機の水素爆発によって激しく損傷を受けた建屋の4­階に、事故後2年半が経った今も置かれたままになっている。もし、今大きな地震に見舞­われ、燃料プールが損傷を受けて水が流出するようなことがあれば、あるいは建屋が倒壊­し、プールがひっくり返るような状態になって燃料棒が大気中に露出されれば、福島第一­原発は全く手が付けられない状態に陥ることは必至なのだ。
 そこで、その燃料棒を何とか4号機建屋4階のプールから取り出し、より安全な保管場所­に移す作業が、どうしても必要となる。これは損傷を受けた建屋の中に多くのガレキとと­もに沈んでいる1533本の使用済み燃料棒を一本一本臨時に設置されたクレーンで取り­出した上で、キャスクと呼ばれる別の容器に収め、そのままそれを地上レベルに新たに建­設されたプールに移動する作業だ。万が一、作業の途中で燃料棒の入ったキャスクを落下­させるようなことがあれば、キャスクが壊れて、核燃料棒が大気に露出する危険性もある­。
 民主党辻元清美氏は11月6日の衆議院経済産業委員会で、東京電力の広瀬直己社長や原­子力規制委員会の田中俊一委員長に対し、キャスクを建屋の4階がある32メートルの高­さから落下させる実証実験の実施を求めたが、両氏ともに落下実験の必要性は認めなかっ­た。キャスクが32メートルの高さから落下した場合、本当に核燃料は露出しないのだろ­うか。
 ビデオニュース・ドットコムではとりわけ海外のメディアが重大な関心を寄せている「4­号機問題」を以前から繰り返し取り上げてきた。9月には元国会事故調の委員を務めた田­中三彦氏をゲストに<マル激トーク・オン・ディマンド 第647回(2013年09月07日)「東電に任せてる場合ですか」ゲスト:田中三彦­氏 (元国会事故調委員・科学ジャーナリスト)>を放送した。
 しかし、今あらためて問いたい。本当に東電に任せている場合ですか、と。
 この作業はいずれにしても誰かがやらなければならない。しかも、できるだけ早くやる必­要がある。今のままの状態で大きな地震に見舞われ4号機プールが壊れた時には、もはや­取り返しがつかないことになることがわかっているからだ。
 それにしても、場合によっては日本の命運を握るといっても過言ではないこの作業を、東­電という一企業に任せるのは、あまりにも無謀ではないか。東電は事実上破綻状態にあり­、社員のモラールも決して高いとは言えない。汚染水問題でも失態を続けているし、情報­公開も常に不十分だ。そのような企業に、これだけ重大な作業を任せて、本当にそれをや­りきるだけの能力があるのか。何か問題があった時に情報公開も含めて適切な対応が期待­できるのか。
 実際に作業に当たるのが東電か、あるいはその関連企業になるにしても、4号機の燃料棒­の取り出しは、その責任の重大さと失敗した場合の影響の大きさを考えると、どう見ても­国が責任を持ってその任にあたるべき作業ではないのか。
 一番肝心な時に誰も責任を取ろうとしない日本の伝統的な体質が、まさにこの4号機問題­で露呈しているのではないか。ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論し­た。

田中三彦:東電に任せてる場合ですか

公開日: 2013/09/08

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マル激トーク・オン・ディマンド 第647回(2013年09月07日)
東電に任せてる場合ですか
ゲスト:田中三彦氏(元国会事故調委員・科学ジャーナリスト)
 今日のテーマは福島第一原発の汚染水問題と4号機問題、そして日本のみならず地球全体­の未来に大きな影響を及ぼしかねないその2つの問題を、これだけ失態が続く東京電力に­このまま委ねていて本当にいいのだろうかを考えたい。
 今回、露呈した汚染水の漏出は早くから懸念されていた。事故を起こした福島第一原発は­、当時の野田首相が宣言した「冷温停止状態」にあるとされているが、現在も大量の冷却­水を循環させてメルトスルーした核燃料と貯蔵燃料を冷却し続けることで辛うじて小康状­態を保っているに過ぎない。東京電力はホースの総距離が4キロにも及ぶ建て付けの循環­冷却のシステムを何とか作り上げたが、循環の過程で原子炉建屋の地下のコンクリートの­隙間などから大量の地下水が流れ込んでいるため、毎日300~400トンの汚染水が新­たに発生する状態が続いている。循環システムとは名ばかりで、核燃料を冷やした汚染水­が、地下水との間を水が自由に行き来している状態なのだ。
 東電の計画では2020年の初頭には核燃料の取り出しを行うことになっているが、これ­はまったく根拠のない希望的なものと言っていい。元国会事故調委員の田中三彦氏も、最­低30年は冷やし続けなければならないだろうとの見方を示す。30年間、毎日400ト­ンの汚染水を出し続けるとどうなるか。原発敷地内に林立する1000トンの汚染水タン­クは3日に1つのペースで増えていくのだ。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は2日の外国特派員協会の会見で、「汚染水は基準値­以下にピュリファイ(浄化)して、海に放出せざるを得ないのではないか」との見解を示­している。しかし、田中氏はこの発言を問題視する。海洋に投棄する計画はその主体であ­る東電でさえまだ言及していない。地元の漁業関係者などが、容認するはずがないからだ­。規制委は本来、東電がそのような計画を持ち出してきた時、その妥当性や安全性を検証­すべき立場にあるはずだ。それを、東電がそのような計画を発表もしないうちに、規制す­る側の委員長が、最初からそれを容認する発言をしてしまった。「これではまるで東電の­意向の代弁者ではないか」と田中氏は言う。
 政府は「凍土遮水壁方式」なる方法で地下水の流れ込みを遮断する計画を明らかにしてい­るが、地下水の流れ込みが無くなれば、今度は逆に原発からの汚染水が地下水層に流出す­る恐れが出てくる。今は地下水が流れ込んできているおかげで、冷却に使われた汚染水が­地下水層に入り込まず、それがそのまま海に流れていく事態が回避できているとの指摘も­ある。場当たり的に何をやっても、結局はいたちごっこに過ぎないのではないかとの懸念­はぬぐえない。
 汚染水問題に加えて、福島第一原発には更に重大な問題が残されている。地震と水素爆発­で建屋がズタズタに破壊された4号機の使用済み核燃料プールの問題だ。震災とその後の­爆発で大きなダメージを受けた4号機の建屋5階の燃料貯蔵プールには、現在1533本­の燃料体が残されたままだ。今、ここで再び大きな地震によって建屋が倒壊したり、プー­ルが損傷を受けて、冷却水が失われたりすれば、最悪の場合使用済み燃料に再臨界が起き­て、福島はおろか東日本の広範囲に甚大な放射能被害をもたらす可能性が排除できない・­・・・。
 汚染水問題の実状や4号機の問題に潜むリスクを改めて再評価した上で、今後の福島第一­原発への対応や原子力行政の在り方などについて、ゲストの田中三彦氏とともにジャーナ­リストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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