受光素子サイズとボケ味の一般論が訳も分からないまま流布していますので、小さな素子を愛好するものとしては、少しだけご理解をいただきたいと言うことで書いておきます。
下は、フルサイズからフォーサーズまでの受光素子サイズとイメージサークルを重ねた略図です。
イメージサークルというのは、レンズから出る像の大きさの範囲です。
フルサイズカメラではAPS-Cやフォーサーズのレンズは、使用できません。逆はマウントに互換性があれば利用できます。
要するに、素子サイズよりイメージサークルが大きい必要があるのです。レンズの大は小を兼ねると言うことになります。
出力画面を基準に考えるとフルサイズを1とした場合、同じサイズに引き延ばすと、APS-Cは1.5倍、フォーサーズは2倍となります。対角線長0.5のものを1に引き延ばすと言うことになりますので2倍なんです。
要するに小さい素子ででっかいレンズのでっかい絵を記録すると端っこははみ出しちゃうので、はみ出した部分は使えないと言うだけのことです。で、必然的にアップみたいになるんです。
以下のイメージです。
フルサイズ
APS-C
4/3
ただ、この場合は 34mm 相当の画角なのですが、レンズが同じなので同じ絵を切り出して引き延ばしただけと言えます。絵は全く同じです。(この絵はトリミングして擬似的にデータ化したもので、実際にレンズカメラを変えて写したわけではありません。)
34mm 相当の画角なのでAPS-Cでは約 51mm 相当、フォーサーズでは 68mm 相当の画角となります。でも、絵は全く同じです。
一般的に 34mm のレンズより 50mm が、50mm より 70mm のレンズの方が背景が良くボケます。でも、この理屈は素子のサイズの違いによる画角変化には何の関係もありません。
なので、一般的に言われるフォーサーズはボケない、コンデジはボケないと言うことは、フルサイズの 35mm は、APS-Cでは 24mm となり、フォーサーズでは 17mm となりますので、広角レンズはボケないと言っているのとほぼ同義になります。17mm のレンズが 35mm のようにボケるわけはありません。フルサイズでも広角レンズはボケにくいレンズです。
斯様に厳密に言えば素子のサイズとボケ味は関係ありません。ただ、素子のサイズとボケ味の一般論は、ある意味正しくはあるが、正確ではないと言えると思います。このことを理解していれば上記のような一般論に惑わされず機材選びが出来ると思います。
最後に、APS-C や、フォーサーズのレンズをよく 35mm 相当に換算したりしますが、これが誤解の元です。17mm は、所詮、17mm です。35mm相当になるのは画角だけで、レンズの性質は 35mm 相当にはなりません。初心者の方は、換算せずにそのままフォーマットごとの画角を覚えた方が、レンズの性質を理解した上で使えるようになると思います。
一般論としてレンズの性能の良い部分は中央部分で端っこ特にイメージサークルギリギリの四隅に行くほどいろんな収差が強くなります。なので、小さな素子ででっかいレンズの美味しい部分だけを使うと高画質だというのは言い得ています。まぁ、そんなとこに大事なものは置きませんので気にしないのが吉ですが、レンズの画質は全画面均質でないので画面の中にすっぽり入る円の内部くらいの描写性能をよくよく評価するというのが良いと思います。真ん中だけではダメです。主要被写体は真ん中を少し外して撮りますからね。
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