この記事は、以前書いた記事を更新するためのものです。センサーサイズが小さいとなぜボケないのか? 違いは実レンズで比較している点です。
よく、フルサイズカメラの方が高級とか、マイクロフォーサーズはコンデジの親玉みたいなことや、マイクロフォーサーズ側からはフルサイズを超えたとか言います。まぁ、そんなことでフルサイズの方が偉いと言うことになっているようです。
ぼくは、両方使ってるのですがそんな風には全然考えていません。前に引いた図ですが、レンズの写る範囲と受け取る素子の大きさの比較です。一番外側の丸四角がフルサイズ、一番内側がフォーサーズです。面積で3.8倍違うことになります。
同じ解像度のチップで考えると画素数も約1/4になるはずですが、実際それほどの差はありません。約1/2程度になっています。これは見方によるとマイクロフォーサーズは面積あたり画素をたくさん詰め込んでいるので無理をしているとも、フルサイズが無理をしていないともいえます。無理をしているとてもコンパクト機ほどムチャクチャな無理をしているわけでもありませんし、フルサイズもすぐにでも6000万画素という時代が来てもなんらおかしくないと言うことです。カメラにおける違いは、まぁ、そんなところです。
問題は、レンズです。レンズのサイズもそれに伴って変わるのですが、レンズの場合は、ガラス玉が相手ですから、ICチップのような急激な発展が望めるものでもありません。フルサイズとマイクロフォーサーズのレンズの大きさの違いはそのあたりにあります。ざっと倍から4倍くらい大きさ重さが違いますよね。
実際に撮影した絵で見てみましょう。
これがフルサイズの広角25mm開放の映像です。フルサイズとはいえ25mmですから背景はボケません。
ILCE-7_biogon_@ 25.0mm_F2.8_1/160sec_ISO100
同じレンズをマイクロフォーサーズ機に装着してとるとこんな感じです。色目はカメラの違いです。上の写真の約1/4を切りだしたと言うことになります。ボケ量も当然同じです。
DMC-GX7_biogon_@ 25.0mm_F2.8_1/320sec_ISO200
マイクロフォーサーズの25mmは、フルサイズでは50mm相当になります。フルサイズの50mmの絵は下になります。背景のボケ量が明らかに違います。
ILCE-7_planar_@ 50.0mm_F2_1/320sec_ISO100
このボケ量と言うのは、単純にボケているのではなくピント面から遠ざかってゆくに従って徐々にボケ量が増えますので、ピントを当てた被写体が周辺の背景から浮き上がったような効果を醸し出します。このあたりを作画で使いたがるのです。よく言う立体感というやつです。確かに背景の情報量は減るけれど主題が強調されることは間違いないです。芸術的な風合いを出すには極めて有効な効果です。
同じレンズをマイクロフォーサーズ機に取り付けると、ボケ量は似たようなものになります。
DMC-GX7_planar_@ 50.0mm_F2_1/640sec_ISO200
以下、フルサイズでボカすために使うボケ量の多いレンズをマイクロフォーサーズ機に使えば同じボケ量を得られるというわけです。
75mm
ILCE-7_HELIARclassic_@ 75.0mm_F1.8_1/320sec_ISO100
DMC-GX7_HELIARclassic_@ 75.0mm_F1.8_1/800sec_ISO200
85mm
DMC-GX7_tele-tessor_@ 85.0mm_F4_1/200sec_ISO200
ILCE-7_tele-tessor_@ 85.0mm_F4_1/100sec_ISO100
よくある質問ですが、確かに撮像素子の余裕から来る性能の高さはフルサイズの方が有利です。ノイスや階調の多寡もそれによります。しかし、値段の方は、昨今フルサイズの普及機とマイクロフォーサーズの高級機では然程違いがみられなくなってきました。某所ではどっちかが偉いというような議論が未だ続いていますが、そんな話はカタログを見ればわかる話で、口角泡飛ばして罵り合うようなことではないと思います。
カメラのよく使う標準的な画角、フルサイズ換算 24-70の画角は、フォーサーズでは12-35と言うことになってしまいます。望遠端の35mmは準広角域で、やっとボケ量の多くなり始める焦点距離なんです。標準レンズの画角は25mmとなり超広角レンズです。これはなかなかぼけない焦点距離です。こいつがフォーサーズのカメラがボケないと言われる一番の原因です。
これは、全く逆のことも言えるわけです。よく使う領域で開放からパンフォーカスに近い絵が撮れるので、あまり、絞り込む必要がないわけです。これはシャッタースピードを稼いで手ぶれ防止に絶大な効果が出ます。
それよりも、フルサイズの素のままでも優秀な望遠(75-135)の良いところだけ切り出して、手を出しにくい本格望遠レンズ(150-270)として使えるメリットの方が大きいと思う人も多いと思います。
このあたりを作画に上手く活用するとフルサイズ、フォーサーズの二刀流も意味があるというものです。
この二刀流はレンズも共用できるのでMFさえ苦にならないのであれば、携帯性もコストパフォーマンスもうんと上がります。
ぼくは、フルサイズとマイクロフォーサーズの二刀流は最強の組み合わせだと思っています。
もちろん、フォーザーズのレンズは専用設計ですから、全てがトリミングするという理屈ではありませんが、そんな風にざっくりとらえておくと良いと思います。
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