シリーズ企画「中国とどうつきあうか」① 香田洋二 元海上自衛隊自衛艦隊司令官 2013.4.24
公開日: 2013/04/25
Yoji Koda,Vice Admiral,JMSDF(Ret.)
元自衛艦隊司令官の香田洋二氏が、①中国の海洋進出の背景と理由、②朝鮮半島情勢、③尖閣諸島問題について話した。尖閣諸島の警備については、海上保安庁法や自衛権発動の3要件(政府統一解釈)などの制約から、国としての対応に限界がある、とした。
会見詳録(文字起こし全文) PDF
「尖閣問題で我々は何に対しどう備えるべきなのか?」
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司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)
日本記者クラブのページ
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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2013年5月号に掲載)
中国の動向 多角的な分析必要
中国とどう向き合うかは、いまの日本の安全保障を考える上で最大の関心事項だ。その意味で、中国問題をシリーズ企画で扱うことをまずは歓迎したい。
その第一弾である。香田さんは日中国交正常化の1972年に防衛大学校を卒業し、海上自衛隊に入隊。海幕防衛部長や佐世保地方総監、自衛艦隊司令官を歴任した。「18年間を海上で過ごした」という経験を踏まえ、中国の狙いは海軍力の増強にあり、その根拠として国際社会で米国と対等に向き合うための国家目標を達成するため、海洋の利用が不可欠だと説いた。
香田さんは、尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返す中国公船に連日対応している海上保安庁への日本人の理解について「誤った先入観がある」と疑問も投げかけた。海上保安庁法上、海保の任務は「海上の安全および治安の確保」であり、領海・領域の警備ではない。武器使用が制限される中で「法律に書いていない任務を海保に押しつけている。中国が軍を出してこないから救われている」とも指摘し、中国側は自衛隊が出動するまでの「グレーゾーン」に着目するはずだとして、日本政府はそれにどう対応するか決めていないとした。
この点について、防衛省は尖閣を含めあらゆる事態を想定した準備をしているという。だが、内容は公表されることがないため、どこまで万全な態勢になっているかわからない。中国は公船に使うヘリ着艦装置を仏企業から購入するなど、尖閣の実効支配に向けた能力向上を着実に進めている。中国の動向は、他国からの技術支援も含め、多角的な視点から分析する必要がある。
安全保障分野は、表にされないことが多い。それだけに、海自の現場で作戦・運用に長年携わってきた人から話を聞く機会は貴重である。
朝日新聞政治部
倉重 奈苗
2013/11/01
シリーズ企画「中国とどうつきあうか」① 香田洋二 元海上自衛隊自衛艦隊司令官 2013.4.24
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