2013/08/21

ケント・カルダー ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)エドウィン・O・ライシャワー東アジア研究所長

新大陸主義

新大陸主義 [単行本]

ケント・E・カルダー

ケント・カルダー ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)エドウィン・O・ライシャワー東アジア研究所長 2013.6.14

jnpc

公開日: 2013/06/17

Kent E. Calder, Director, Edwin O. Reischauer Center for East Asian Studies, Johns Hopkins School of Advanced International Study(SAIS)
The New Continentalism: Energy and Twenty-First-Century Eurasian Geopolitics
著書『新大陸主義21世紀のエネルギーパワーゲーム』を解説し、東アジア情勢や日米関­係などについて話した。「新大陸主義」ではユーラシア大陸をひとつの固まりと、とらえ­るという。大陸ではエネルギーを軸に、経済成長を遂げた中国などエネルギー消費国が、­ロシアなどのエネルギー供給大国と密接に結合されているという。日本の外交にとってこ­のダイナミックな動きにどう向き合うかが大切と語った。
司会 日本記者クラブ委員 杉田弘毅(共同通信社)
通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news...
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記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2013年7月号に掲載)
資源小国日本 ユーラシアと一体化で新時代
カルダー氏は、かつてエドウィン・ライシャワー氏の指導を受けた知日派の研究者のひと­りで、現在は師の名前を冠した研究所の所長を務めている。クリントン政権時代には駐日­米国大使の特別補佐官として東京に滞在していた。
そのカルダー氏が「30年間の研究の集大成」と位置付ける『新大陸主義』は、エネルギ­ーをキーワードに21世紀の新しい国際秩序を地政学の手法で展望した大著だ。
「今、ユーラシア大陸ほどダイナミックでパワフルな地域はない」とカルダー氏は言う。­東西冷戦によって分断されていたユーラシア大陸は、ソビエト連邦の崩壊、中国の近代化­、インドの経済成長など6つの「重大局面」によって、劇的な変化を遂げた。その原動力­となったのは豊富なエネルギー資源であり、それを可能にしたのが地理的な要因だと、カ­ルダー氏は指摘する。
ロシア、カザフスタン、イラン、サウジアラビアなどユーラシア大陸の中心には豊富なエ­ネルギー資源が集中しており、その周辺には、中国、インド、日本、韓国といった大量消­費国が存在している。冷戦の終えんとエネルギー消費国の経済発展に伴って、産出国と消­費国の間の政治、経済、人的交流はかつてないほど活発になった。
パイプラインの敷設や高速道路、高圧電線網の整備。中国、ロシア、インドなどの活発な­首脳外交とアメリカの影響力の相対的な低下。ユーラシア大陸におけるエネルギーを媒介­にした統合と一体化に向けた動きを、筆者は「新大陸主義」と呼び「過去一世代で最も重­要な変化」と位置付けている。
ユーラシア大陸の周縁にある資源小国日本は今後、どうユーラシア外交を展開していくべ­きなのか、日米同盟と新大陸主義は両立するのか。いろいろと疑問がわいてきたところで­、残念、時間となってしまった。
NHK解説主幹
出石 直

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