2014/07/28 に公開
Aya Abe, Director, department of empirical social security research, National Institute of Population and Social Security Research 子どもの貧困率が過去最悪を更新したなか、子どもの貧困対策大綱が近く閣議決定される。2008年に『子どもの貧困』(岩波新書)でこの問題を世に問い、14年『子どもの貧困Ⅱ』(同)で解決策を提示した阿部彩氏が、あるべき対策について語った。 司会 軽部謙介 日本記者クラブ企画委員(時事通信) 日本記者クラブのページ http://www.jnpc.or.jp/activities/news... ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 記者による会見リポート(日本記者クラブ会報2014年9月号に掲載) 経済成長の恩恵説を否定 子どもの貧困を多面的に浮き彫り 子どもの貧困率が過去最悪を記録。初めて全体の貧困率を上回った。先進国クラブといわれるOECD(経済協力開発機構)の調査でも日本はワースト10位だ。そんな中で地道な研究者らしく、様々なデータを駆使して多面的に問題点を浮き彫りにした。 貧困は子どもに様々な悪影響を及ぼす。健康、成長、栄養、親子関係、学力、友人関係、自己肯定感、希望、不登校、非行、児童虐待、若年妊娠。「貧困の連鎖」によってこうした格差は固定化し、ひいては民主主義の前提である平等な1票の原則すら満たせなくなると警告する。 なかでも経済が成長すれば、その恩恵は貧困層に及ぶという「トリクル・ダウン説」を明確に否定。「成長への盲目的信頼はダメ。明示的な貧困対策が必要」と強調した。その上で各国の資料を比較し、貧困問題が実は「構造問題」でもあると指摘した点はとても印象的だった。 政府は成長戦略の一環として出生率引き上げに躍起となっている。しかし、その足元で子どもの貧困が最悪となっていては、いかにも説得力に乏しい。政府は大綱をまとめたが、穴の開いたバケツにならなければよいが。 朝日新聞出身 梶本 章
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。